私は行政書士になる数年前、行政書士事務所でアルバイトとして働いた経験があります。

もともと法律に興味があり、大学で法学を学んでいた私は、「行政書士ってどんな仕事をしているんだろう?」という純粋な好奇心から、ある行政書士事務所に応募してみました。

ネットで調べても、行政書士の仕事といえば「書類作成のプロ」とか「官公署に提出する書類を代行」とか、ざっくりした説明が多く、実際の現場がどんな雰囲気なのか、どんな業務があるのか、よくわかりませんでした。

でも、アルバイトとして働いたことで、行政書士という職業がぐっと身近に感じられるようになりました。
今回は、そんな私の体験をベースに、「行政書士事務所のアルバイトって実際どうなの?」という疑問にお答えできるような記事を書いてみたいと思います。

これから行政書士事務所で働こうと考えている方、法律系の職場に興味がある方、そして行政書士を目指している方にも、ぜひ参考にしていただけたらうれしいです。


そもそも行政書士って何をする人?

アルバイトの話に入る前に、まず「行政書士って何?」という点を簡単におさらいしておきましょう。

行政書士は、官公署に提出する書類の作成や、その手続きの代理、相談業務などを行う「法律系の専門職」です。
具体的には、以下のような業務があります。

  • 建設業許可申請
  • 会社設立書類の作成
  • 飲食店営業許可
  • 自動車登録(車庫証明や名義変更など)
  • 在留資格(ビザ)の申請
  • 遺言・相続に関する書類作成

などなど、本当に多岐にわたります。

私がアルバイトしていた事務所では、車関係と在留資格(入管関連)の業務をメインに扱っていました。
特に、外国人のビザ関係の業務は多く、言語サポートや書類チェックなど、思っていた以上にやりがいのある業務が多かったです。


アルバイトの主な業務内容

実際に私が行っていた業務を、ざっくりご紹介します。

書類作成・チェック

これは基本中の基本です。
行政書士の業務のほとんどは書類と向き合うことなので、アルバイトもその補助を行います。

たとえば、入管提出用の在留資格変更申請書や、帰化申請の添付資料など、細かい記入項目が多く、書類のミスは絶対NGです。
私は、先輩行政書士が作成した書類をダブルチェックしたり、指定のExcelフォーマットに情報を打ち込んだりする業務を担当していました。

最初は、「こんなに細かいの⁉」と驚きましたが、徐々に「こういうところに注意するんだな」というポイントが見えてきて、自分でも少しずつ成長を実感できるようになりました。

郵送・役所への提出

提出書類を封筒に入れて発送したり、簡単な書類を役所まで届けに行ったりすることもありました。

「書類を届けるだけでしょ?」と思うかもしれませんが、役所によっては窓口の対応が厳しかったり、追加で書類を求められたりすることもあります。
そういう場面では、「この業務がプロに任されている理由」がよく分かります。

また、書類を送るときの添え状や封筒の記載も、すべてルールがあり、丁寧さが求められます。
事務所によっては、封筒の書き方やホッチキスの止め方まで指定されていたりします。

地味だけど、ミスが命取り。まさに「裏方のプロフェッショナル」という感じです。

電話・メール対応

あくまで補助的な業務でしたが、お客様からの電話対応をすることもありました。
とはいえ、法律の専門的な話をするわけではなく、来所予約の受付や、簡単な進捗状況のご説明程度です。

また、外国人のお客様も多かったので、英語や簡単な日本語でコミュニケーションを取る機会も。
ときには、翻訳アプリ片手に四苦八苦しながら対応することもありましたが、そういう経験がすごく楽しかったです。


実際の職場の雰囲気は?

私が働いた行政書士事務所は、スタッフ6人ほどの小さな事務所でした。
代表の行政書士さんは40代の女性で、とても丁寧で親しみやすい方。

職場全体も落ち着いていて、静かに黙々と作業するような雰囲気でした。

ただ、決して「冷たい」とか「堅苦しい」わけではなく、わからないことがあればすぐに質問できる環境でしたし、ランチタイムにはみんなで雑談したり、ほんのり温かい職場でした。

あと印象的だったのが、「みんなものすごく几帳面」だということ。
ファイルの整頓、PC内のデータ管理、チェックリストの活用など、業務のどこをとっても「無駄がない」んです。

「これが“仕事のできる人”の仕事術か…」と、密かにメモしてました(笑)


大変だったこと・やりがいを感じたこと

大変だったこと

書類の専門用語やルールを覚えるのが大変だった
 → 特に入管関係は法改正も頻繁なので、勉強は欠かせませんでした。

ミスが許されないプレッシャー
 → たった一文字のミスで不受理になる可能性もあるので、常に緊張感を持って作業していました。

地味な作業の連続
 → 華やかさはなく、ひたすら「正確さ」が求められる業務です。

やりがいを感じたこと

自分の関わった書類で、お客様が許可をもらえたときの達成感
法律知識が実務の中で自然と身につく感覚
事務職のスキル(PC、敬語、マナーなど)も磨ける

特に、お客様から「ありがとう」と直接言ってもらえた瞬間は、本当に嬉しかったです。


こんな人におすすめ!

行政書士事務所でのアルバイトは、以下のような方に向いていると思います。

  • 事務作業が得意 or 好きな人
  • コツコツと細かい作業を丁寧にできる人
  • 法律やビザ、書類手続きなどに興味がある人
  • 将来、法律系の職種を目指している人

逆に、「人とたくさん話す仕事がしたい」「クリエイティブなことをしたい」という人には、ちょっと退屈に感じるかもしれません。


まとめ

行政書士のアルバイトは、地味だけど奥が深く、やりがいのある仕事です。
専門知識も身につくし、実務の現場を知るにはぴったりの環境でした。

私にとっては、ただの「アルバイト」ではなく、これからの進路を考えるうえでも貴重な経験になりました。
行政書士を目指す人はもちろん、法律の世界に少しでも興味がある方には、ぜひ一度体験してほしい仕事です。